比べてわかる美しい商品の撮り方

● プロカメラマン 宮沢 章氏 提供
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近年デジタルカメラの登場と高性能化で、きれいな写真が簡単に撮れるようになりました。
しかしいくらカメラが進歩しても、基本的な扱い方を知らなければ良い画像や印刷物は作れません。
そこで「きれいな写真を撮るポイント」を簡単にまとめてみました。

1.
カメラの選択   −商品撮影に最適なカメラとは−
2.
カメラの設定   −美しく撮るには設定が重要−
3.
用意する小道具   −身近なモノで揃えよう−
4.
ミニスタジオの設置とライティング   −光源別の作り方−
5.
撮影と後処理   −撮影と仕上げの注意点−

1. カメラの選択   −商品撮影に最適なカメラとは−

使用するデジカメは、次の条件を満たしているとBestです。
ホワイトバランスが変えられる
光源に合わせ色かぶりをなくす。
望遠系のレンズが付いている
商品撮影の基本はモノが歪まない望遠側で撮る。
マクロモードがある 
小物撮影では必須。
露出補正ができる   
微妙な明暗をコントロールできる。
ストロボのON・OFFが選べる
基本は内蔵ストロボを使わない。
画素数    
画像の印刷物での使用サイズ(仕上りサイズ)がハガキ大程度なら200万画素タイプ、それより大きい場合は300万画素以上が必要です。

2. カメラの設定   −美しく撮るには設定が重要−

【ホワイトバランス(WB)】
デジタルカメラの設定で最も重要なものはホワイトバランスです。ホワイトバランスとは「白が白く写るようにする」設定です。商品の色を正確に出すため、使用する光源に合わせ[太陽光][くもり][電球][蛍光灯]を切り替えます。
オートは万能ではなく、正確な色が出ない場合があるので、光源がバラバラな時以外はお勧めできません。
また、プリセットモードがある機種は使用する光源で実際に測定できるのでより正確です。 プリセット設定の仕方・・・撮影する光源の下で白い紙を写し設定します。
太陽光
オート
プリセット
商品の色を正しく出すには、光源に合わせた ホワイトバランスに設定する。
【画質】
使用する画像の大きさによって画質を選択します。 画像処理ソフトで後から加工ができる場合は、できるだけ圧縮率の低いきれいな 画像で、できるだけ大きく撮った方が 有利です。(例:FULLまたはL、FINE)
ただしあまり枚数は撮れなくなるのでご注意を!
【ストロボ】
内蔵ストロボを直接当てると商品の質感が出ず、平面的な写真になってしまいます。 つまりコントラストがつき過ぎて、データの階調が無くなり、質感が表現されなくなります。基本はOFFで。 ただし適当な光源がない、あるいは太陽光の補助光にという時には使えます。その場合、右記の要領でトレーシングペーパーを小さく切って貼ってみましょう。光がやわらかくまわり、質感が出てきます。レンズにかからないように注意しながら 少し弛ませ張り付けます。
【露出モード】
モードが選択できる機種では用途と経験によって使い分けましょう。
P(プログラムオート)
カメラが状況に応じて自動で設定してくれます。何もわからない方はまずこのモードで。
A(絞り優先オート)
任意の絞りを設定すれば後はカメラまかせのモード。ピントの合う範囲をコントロールできるので、全体にピントを合わせたい場合は絞り(数字の大きい方へ)、前後をぼかしイメージ風に撮るには絞りを開けぎみ(数字の小さい方)にします。
M(マニュアル)
光の量を見て、シャッタースピードと絞りを自分で設定します。単体露出計が無くてもデジカメのメリットを生かし、モニターで撮ったものをすぐ確認すれば使いこなせます。微妙な明るさをコントロールできます。
絞りを開放にすると後ろがボケてイメージ風に
絞り込むとシャープな商品写真に
【画角(レンズ)の選択】
商品撮影の基本は商品を見たままに写すこと。形が歪んでしまっては正確に情報を伝えられません。 ズームレンズが付いていれば、形の歪まない望遠側で撮りましょう。
広角:パースがついて形が歪んでしまう
望遠:商品の正しい形が出せる
商品の形を正しく出すには、レンズは望遠側で撮る。

3. 用意する小道具   −身近なモノで揃えよう−

背景用の大きめの白い紙 (ケント紙・カレンダーの 裏等の厚手で余り光沢のないもの)
または大きめの布、タオル等
テープ
反射板(表が白、裏にしわくちゃにしたアルミ箔を 貼ったボード)
三脚 (小型タイプで十分)
ライト (スタンドライトなど)
トレーシングペーパー

4. ミニスタジオの設置とライティング   −光源別の作り方−

光源によって撮影台の作り方が違います。商品のイメージに合う光源を選択しましょう。
またバック紙に布やタオルを使うと、変化が出て自然な感じが出せます。特にタオル地はシワが気にならず効果的です。 ライティングの基本は太陽、つまり1灯の明かりです。当てる角度は変わりますが、1灯がモノが自然に見える基本で、 補助に弱い光を加え、立体感(質感)を出します。

(1)自然光(太陽光)
手軽に強い光を得るのであれば、自然光を活用します。窓辺に適当な台を置き、その上に白い紙または布を敷きます。窓はスリガラスが理想的。無理な場合は無地のレース  カーテンやトレーシングペーパーを貼ることで代用できます。これは光をやわらかくする工夫です。  太陽光で撮影する場合は日中の光を使います。朝夕の光は赤みが強く正しい商品の色は出せません。


〈カメラの設定〉
ホワイトバランスは「太陽光」 ・ 露出がオートの場合、背景が明るいとカメラが自動的に露出を暗い方へ持っていくため、補正をプラス(明るい)方へ設定する。レンズは形が歪まないようにできるだけ望遠側を使う。

〈最適な商品〉
自然光がイメージに合うもの、または窓辺のシーンなどの イメージ写真、平面的なもの、半逆光になるため、透明物 (ガラス)など
太陽光のみ:商品の前面が暗い
太陽光+補助光(ストロボ):
前面にも光が回り、バランスがとれた
補助光としてカメラの内蔵ストロボ(前述のトレペ付)を使えば、
正面からも明るいバランスのとれた写真になる。

(2)人工光(電球、蛍光灯)
自在に光源を動かせるのでライティングの自由度は広がります。壁際に台を置き、壁から台にかけて白い紙、布等をカーブさせ敷きます。光源はできるだけ明るい方がきれいでシャープな写真が撮れます。また正しいホワイトバランスに合わせるため 電球・蛍光灯のどちらか1種類に統一しましょう。

A.室内灯を生かした撮影

B.スタンドだけのライティング

室内が明るい蛍光灯照明の場合、 その明かりをメインとし、補助に蛍光灯タイプのスタンドを、カメラの 左右ナナメ前から影の出方を見ながら当てます。







スタンドの明かりだけで撮るので室内灯は消します。
光源の位置をトップライト(商品の 真上)からカメラ側の ナナメ正面の付近まで動かし、影の出方を見て調節します。
商品の形(輪郭)を浮き上がらせるには、バックに光を当て逆光にします。
露出がオートの場合、カメラが自動的に露出を変えるため 商品のうしろが明るい場合はプラス(明るい)方へ、暗い場合はマイナス(暗くなる)方へ露出補正をかける
〈最適な商品〉
 ・立体的なもの
〈カメラの設定〉
 ・ホワイトバランスは「電球」「蛍光灯」で光源に合わせる
 ・ストロボはOFF
 ・レンズはできるだけ望遠側を使う
バックからの逆光で輪郭を強調
バックを弱め順光でしっかり描写

5. 撮影と後処理   −撮影と仕上げの注意点−

商品の特徴、形状、質感をしっかり写すために、反射板を効果的に使いまたピンボケ、ブレにも注意しましょう。
【反射板】
どの光源でも商品の前面を明るく、また陰影をつけて立体感を出すために、商品の手前左右どちらかに白レフ・銀レフを立て光を反射させます。光のきらめきを出す時は銀レフ、やさしい光には白レフと使い分けます。
銀レフで魚のテリを強めに
白レフで野菜のグリーンをやさしく
【ピント・ブレ】
ピントはマニュアルで正確に、が基本ですがオートしかない場合、凹凸の無いものはなかなかピントが合いません。 そこで商品の前にできるだけグレーに近いもの、雑誌・新聞紙等を仮に置き、ここにピントを合わせて撮影します。
また、ブレ防止のためにも三脚を使いましょう。三脚にしっかり据えれば、細かいライトの調整も1人で十分こなせます。 さらに光源が明るければ、より早いシャッターが切れるのでブレる心配も少なくなります。
【チェック】
デジタルのメリットを最大限に生かし、モニタで撮った画像をすぐにチェックしましょう。
たとえ失敗してもすぐ撮り直しができます。色味、ピント、明るさを見て、ダメな部分に戻り調節します。
チェックポイントは色味(WB)・ピント・明るさ(露出)
【後処理】
撮った画像は必要に応じて画像処理ソフトで加工します。ただし、画像処理ソフトでの加工のやり過ぎは劣化のもと。 特に圧縮処理するJPEG形式は、保存を繰り返す度に劣化していきます。加工は微妙な明るさの調整やシャープネスの 付加などにとどめるよう、撮影段階でBestを尽くしましょう。
【その他注意点】
デジタルはグラデーションにあまり強くありません。極端なコントラストのついたライティングはきたない画像になってしまいます。ライトの位置を離したり、商品との間にトレーシングペーパーを入れることで調節します。
光源が暗くても最近のデジカメは撮せますが、ねむく階調のない、色バランスの崩れた画像になってしまいます。できるだけ明るい光源を使い、露出をカメラ側でコントロールしましょう。
より良い画像を得るためにはパソコンモニターの調整や、画像処理ソフトの設定も重要です。印刷物の仕上り(色合い)がイメージと違う大半はこの調整ミスによるものです。この設定に関してはまた別の機会にご説明しましょう。
明るく、ソフトなライティングを心掛ける